191114
この考え方はニーチェの思想(主にキリスト教批判)に基づいているが、これが正しいニーチェ解釈なのか知らない(多分違う)し、原典なんか当然読んでないし(ドイツ語読めないし)、そもそもニーチェ全部読んでない。というかこれはもう自分自身の考え方なのでそういうのどうでもいい。
自分の世界の捉え方と人生への価値観
- 「絶対」は崩壊している。
- 自分自身の哲学を構築する。二本の足で地面の上に立つ。
1. 絶対性の崩壊
この解釈は主にニーチェによるキリスト教批判に基づく。自分はこのキリスト教というものを拡大し、絶対性と捉えて解釈した。つまり万物想像の主(神)を想定し、この絶対神に身を委ねることで自分の行動・人生哲学を組み立てる思想であると一般化すると、このような絶対的存在を批判したニーチェの思想は自分にはとてもしっくり来る。
物理の世界では、ニュートンによる「固定された3次元空間においてものとものの関係が方程式によって記述される/時間は等速に流れる」という思想が相対性理論によって破られ、空間は重い物体によって歪む/時間軸は速度によっては歪むという説が一般的になった。また、不確定性原理が示すように物体の座標は観測という行為によって干渉され、確率的にしか規定できないことも示された。
生物学においてもゲノムが転写されRNAの翻訳を経てタンパク質として機能するという生命体における規則(セントラルドグマ)が存在すると考えられてきたが、塩基配列解読技術の向上によって様々な生物の全ゲノム配列が読まれる時代に突入すると、RNA単体でセントラルドグマを外れて機能するものが多く存在すること、ゲノム配列中になんの機能も持たないジャンクが大量に存在すること、生命が進化の過程で獲得してきた形質(キリンの首は長い、カラスは黒いなど)は多くが偶然獲得されたに過ぎないことが明らかになった。
コンピューター科学の発達により、脳、心などの定義がSFではなく本格的に揺さぶられる時代に突入した。
挙げ始めるときりがないが、プラトン以降世界における本質・絶対性・究極の一般化法則(イデア、ラプラスの神など)を探索する哲学・科学における取り組みは、世界の思わぬ複雑性・偶然性・確率的性質によって敗れたと考えざるを得ない(だからといって価値がないというわけではもちろんない)。すなわち、ニーチェが唱えたキリスト教的な価値観の批判は現状の世界を観察する上では非常に正鵠を得ており、新たな価値基準を検討しなければならない。
2. 自分自身の哲学と自分に依拠するということ
以上の世界の捉え方では、もはや自分のすがる絶対性という概念は喪失された。自分で自分自身の価値観を探し出すことが大事である。そのような価値観は他者のものに干渉されないはずだし、他者に干渉することもない。
スケールの大きい話だが、一般生活に矮小化して考えるなら
・物事を一般化しようという取り組み自体もはや道楽に過ぎない。このようにして生み出された無数の一般化規則(人生論とか)はだいたい運とランダムを超えられない。
・インターネットの発達によってこれまで関わりが無かった人々とのコンタクトが生まれた結果、想像以上の思想・人間の多様性が明らかになり、それが結果的に反動として局所的に均質化され先鋭化する思想の対立を生み出している。あまりにも正義というものが危うい、立場に依存するものであることが明らかになっている。
・あまりにも多くの情報が手に入る時代になり、何もわからなくなってしまっている。自分自身の思考を尊重し、他人の思想に干渉しない。
以上はすべてニーチェが予言した絶対性の崩壊と肉体への回帰という思想に通じる。
いろいろ
間が空いた。読んだ本。
・高慢と偏見 上/下(ジェーン・オースティン):個人的にコリンズのおたく感がツボだった。上巻の方が面白かった。
・凶器は汚れた黒の叫び(河野裕):そろそろ買うのやめようかなこのシリーズ
・小説以外(恩田陸):読む本の参考にしてる。意外と自分の中で残ってる。
・冥土・旅順入城式(内田百けん):静謐でぼやけた世界観、だんだん狂ってくる。エンドレス夢十夜で最高。
・屍鬼 1~5(小野不由美):長すぎる。終盤の視点が平等に振られてくる感じは好きだった。3巻くらいに圧縮してくれればよかったのに。
・麦酒の家の冒険(西澤保彦):本格だけどちょっと無理あったかな。まあ楽しめた。
・春昼・春昼後刻(泉鏡花):泉鏡花の中では読みやすかった。アンビエントな感じがすごい好き。ラストはKの昇天を彷彿とさせた。良かった。
・伝奇集(ボルヘス):いや面白かった。円城塔をうざくなくした感じ。
・タイムマシン(ウェルズ):昔のSFだけどすでに今を捉えてる感じがして古臭くなく楽しめた。
・夜の来訪者(プリーストリー):今月のスーパーヒット。背筋ぞくぞくした。本当に最高。
・山の音(川端康成):タイトルを拝借した恩田陸の短編から。もうちょい土俗的な恐怖が濃いかと思いきや日常系の小説で終わった。狙いを外したのもあり、個人的には不満足。
・殺意の集う夜(西澤保彦):ギャグであり、パズル。息抜きには良い。
・草祭(恒川光太郎):怖くないホラー。安らぐ空気感が根底にあって良い。
・たとへば君(河野裕子・永田和宏):ベタベタの恋愛ものは苦手なんだけど、歌集だとさらっと読める。終盤の鬼気迫る歌にはうるっときてしまった。
河野裕子の最期の一句
「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」
これは凄まじいな。
・大きな森の小さな密室(小林泰三):面白くなかった。最後のパン屋のやつだけは好き。
・海流の中の島々 上/下(ヘミングウェイ):根底を漂う諦念みたいなものと自然の描写の鮮やかさがぐっとくる。
・夜市(恒川光太郎):後半の風の古道の方が好きだった。日常に隠れるどこか懐かしい異世界。
・はっとする味(平松洋子):食べ物エッセイたまに読みたくなる。
・草迷宮(泉鏡花):今までで一番読みにくかった。春昼とか高野聖の方が好きかな?子供が面をつけて夕刻に不気味な歌を歌うシーンは好き。
読みすぎた反動で今はあまり読書欲がない。学校も忙しいし。
Beach Fossils, Fazerdaze, Hazel Englishあたりの新譜は買っておきたい。Soundcloudを漁っていて見つけたLiberal & Cripple, Low pop ltdあたりの無力感と切なさ溢れる歌詞と歪んだ音がどんぴしゃ好みで、やっぱりギターロックが好きなんだな〜と思った。言いたいこと全部言ってくれて、本当にどうしようもなくて不甲斐ない自分たちの声を代弁してくれていた。
5/5
穏やかな連休を過ごしている。学校にも行ってるけど。
ブックオフの20%オフセールで本を20冊くらい買った。当分読む本には困らなそう。連日晴れて気分が良い。窓を開けるといい風が入ってきて、ベッドに寝そべって本を読んでいるといつの間にか寝落ちている。至福の時間って感じ。
アイスコーヒーが飲みたい。
小さい頃、ふとした瞬間にいつもの場所が全く違った場所に見えることがしばしばあった。例えば家の階段、駅までの道。固定された空間の中で動き回る一個の自我としての自分、という概念を理解できなかったんだろう。似た感覚で新宿東口から紀伊国屋の方に伸びる新宿通りはいまだにしっくりこない。なんだかABCマートまでとそれより奥で全く通りの見え方が違う。逆方向から見たときは、また違う。
よくわからなくなってきた。
the war on drugsの新曲が良かった。ミサイルは来るんだろうか。最近は生活や人生と向き合えているような、そうでないような。何もかも大切で、何もかもどうでもいいような感覚。倦怠、倦怠、倦怠。
4/20
母親がコールドプレイの東京ドームライブに行ってきたらしい。大変素晴らしかったらしく、口角泡を飛ばしていかに楽しかったかを解説してくれた。
それはいいんだけど忙しい朝の時間に衝動的にviva la vidaのシンガロング始めるのやめてほしい。飛び跳ねるな
ヨラのFadeを聴いている。最初はインパクトなかったが、500回くらい聴いたら最高になってきた。静かな曲長の裏の激しいディストーションが本当に好き。
夏の夜に蚊取り線香の煙を見ながら聴く曲。鳴る音は少ないけど、バックの微かなノイズや残響、ひとつひとつが幻想的で静謐、ノスタルジックな音像を作り出している。
どうしようもない夜がある。深夜布団にくるまって、音量1でこの曲を聴くと少しだけ救われる気がする。音を小さくすることで見える心象のようなものがあると思う。
4/18
暑い。つい最近まで桜が咲いてたのがウソみたいだ。
週末、秩父に行った。桜、枝垂れ桜、桃、椿、菜の花、椿、芝桜、スミレなどなど何でもござれでどこもかしこも咲き散らかしていた。常に視界のどこかに花が咲いている。色のオーバードーズ。また来年も行ってみたい。
最近はとりあえず何も考えなくてよさそうな音楽を聴いている。
Fickle Friendsは本当にいつの時代でもどこにでもいそうなシンセポップバンドっぽいけど、初めて聞いて良いって思えるバンド。The 1975はまあもはや今更だけど、この動画のカウントダウンのところはめっちゃかっこいいな。クネクネしてキモイけど。
本は
・インド夜想曲(アントニオ・タブッキ)
・上と外 上/下(恩田陸)
・怪談(ラフカディオ・ハーン)
を読んだ。インド夜想曲、まさかのミステリー。静かな雰囲気が夜にいい。上と外、明らかにつまらなそうな恩田陸なので敬遠していたが意外と楽しめた。この人は土俗的な神秘の描写が本当にうまい。ネクロポリス、上と外と全く同じ印象。普通に楽しめた。さんざん持ち上げておいてラストでずっこけるのはお家芸。ファンだとまたかとしか思わないが。怪談、良かった。日本の怪談は全然怖くなくてノスタルジーすら感じるのが良い。
夜の街を走った。月曜の夜遅くは人も少なくて静かだった。涼風が吹いて、虫が鳴いていてさながら秋のようだった。古ぼけたうなぎ屋からいい匂いが漂ってきて、路地を行く初老のサラリーマンはどこか寂しげで、終わりなき日常は続く。